プロジェクトストーリー
山岳トンネル

交通の難所を解消する山岳トンネルの建設

多伎朝山道路口田儀第1トンネル工事

プロジェクト担当者

土木事業本部 工事部 1992年入社

山中 健大(やまなか たけひろ)

当社がはじめて採用する新技術等もあり、わからないことや上手くいかないこともありましたが、関係者からの様々な協力や情報提供により、無事に竣工することができ、良い経験になりました。

山陰道の一部を担う多岐朝山道路におけるトンネルの施工

島根県出雲市と大田市を結ぶ一般国道9号線は、急カーブが連続し交通事故が多発する難所となっていました。また豪雨災害により全面通行止となる等、災害が頻発する区間でもありました。多伎朝山道路は、このような課題を解決するために計画された延長9.0kmの自動車専用道路です。当工事では、長さ354mのトンネルをNATM(New Austrian Tunneling Method)にて新設しました。なお、「口田儀第1トンネル」は施工時の仮称であり、開通後の正式名称は「朝畑トンネル」です。

SCENE
01

「CIM」の採用により、施工管理を効率化

トンネル施工における管理を効率化すると同時に精度を向上するために、CIM(Construction Information Modeling/Management)を活用しました。
CIMによりトンネル施工時の計測データや品質管理記録を3Dモデルとリンクすることで、各種データの検索が容易になり、施工管理の効率化が図れました。また、施工の情報がインターネット経由で閲覧できるため、店社にいる技術者等の関係者との情報共有も円滑に行うことができました。

SCENE
02

覆工コンクリート背面の凹凸を解消

山岳トンネルの施工では、完成後のトンネル内への漏水を防ぐために掘削面に吹付けたコンクリートの全面に厚さ1mm程度の防水シートを貼りますが、掘削した岩肌の凹凸や地山に打ち込んだロックボルトの突出により防水シートに破損を生じることがあります。口田儀第1トンネルは地表から浸透した雨水がトンネルにまで達する地質であり、完成後のトンネルへの漏水が懸念されたため、吹付コンクリートと防水シートの空隙を充填し、防水シートの破損を防止する「背面平滑型トンネルライニング工法」を採用しました。
これにより、凹凸面や突起物と防水シートとの接触を避けられたため、防水シートの破損を防止し、防水性を向上しました。

SCENE
03

「EPSパネル養生工法」により覆工コンクリートの品質を向上

トンネルを通行する際に通行者が目にする覆工コンクリートは、確実かつ丁寧な施工により供用後の剥離や剥落を防止する必要があります。施工場所は冬期の気温が低く、コンクリートが固まる過程におけるひび割れや耐久性の低下が懸念されたため、当社が開発した「EPSパネル養生工法」(NETIS:CB-090003-VE)を採用し、型枠を取り外した直後から約4週間にわたる長期養生を行いました。「EPSパネル養生工法」により、乾燥によるひび割れを防止するとともにコンクリートの硬化に適切な温度を維持し、良質な覆工コンクリートを施工できました。

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04

絶滅危惧種の鳥類に配慮した施工

多岐朝山道路の施工においては、事業地内で絶滅危惧種である猛禽類(サシバ)の営巣が確認されていたため、環境影響評価(環境アセスメント)において工事による影響を低減することとなっていました。そのため、騒音の小さい施工機械を選定したほか、施工方法を工夫することで騒音・振動を低減しました。また、繁殖期には、影響が懸念されるエリア内でのクレーンの使用を禁止するなどして、上空にも配慮しました。

GALLERY

発注者 国土交通省 中国地方整備局
竣工年 2017年
施工場所 島根県出雲市
工事概要 工事延長:460m
トンネル(NATM):L=354m
明り部:106m

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