地盤改良と同時に地中に炭素を貯留する技術の開発を加速
カーボンニュートラル社会の実現へ、使えば使うほどCO2を削減する「ネガティブエミッション技術」
技術の概要
不動テトラ(社長 奥田眞也)とソイルテクニカ(社長 西川晋司)は、地球温暖化の抑制を目指す脱炭素社会に向けて、砂地盤の液状化対策を応用した炭素貯留技術の開発に着手しました。バイオマス混合材料をサンドコンパクションパイル(SCP)工法の中詰め材として地盤中に打ち込み、液状化対策を行うと同時に炭素を地盤中に貯留します。地盤改良の施工に伴って重機から排出される二酸化炭素(CO2)よりも、地中に炭素を貯留する量の方が圧倒的に多いので、トータルでCO2を削減します。この新技術は、使えば使うほどCO2を削減する=正味としてマイナスのCO2排出量を達成した「ネガティブエミッション技術」となります。
2050年のカーボンニュートラル社会の実現に向けて、開発を加速させています。


開発の現状



バイオマス材料をSCP中詰め材へ
液状化防止対策で使用するバイオマス混合材料は、地下水位以下の深度に留まるため、空気中の酸素に触れることがなく、腐朽しません。また、再生砕石との混合材料としたのは、再生砕石が廃コンクリートからのリサイクル材であり環境負荷を低減できることと、再生砕石のアルカリ性によりバイオマス材料の腐朽をさらに抑制できるためです。
SCP工法との組み合わせによる効果
バイオマス材料は、チップ状や粒状のため運搬性に優れ、種類も竹に限らず木材やバイオ炭やバイオマス燃料の焼却灰など、様々な材料を適用することが可能です。また、地盤改良工法として半世紀以上の歴史と多数の施工実績があるSCP工法の技術を応用することで、これまでの地震で液状化を防いできた品質に対する信頼性、および全国的な要望に応えることができる施工体制(人員、機械)を供給することができます。
CO2排出量の試算
右の棒グラフはSCP工法(SAVEコンポーザー)で液状化防止対策工事を施工した際の、対象土量1m3当たりのCO2排出量を試算※したものです。試算の対象は、材料の採掘・製造から運搬(竹チップは長距離のダンプ運搬も考慮)、地盤改良の施工、残土の搬出まで含んでいます。
SCP工法は、現場への砂の搬入や施工時に重機からCO2が排出されることになりますが、材料を砂からバイオマス混合材料に変更することで、地中に炭素を貯留することができます。CO2換算量は、施工に伴い排出されるものよりも地中への貯留量が多く、その結果全体収支でマイナスにすることができます。試算したケースでは、従来のSCP工法が発生させるCO2排出量に対し、【約600%】のCO2削減効果が見込めることになります。

改良仕様:下表の通り
今後の展望、将来の見通し
◆ 現在、研究機関との共同研究に向け、準備を進めています。バイオマス混合材料をSCP工法の中詰め材料へ適用した際の、力学特性の解明や腐朽防止技術の証明などを研究していく予定です。
◆ バイオマス材料の調達については、地方自治体との協調体制も視野に入れ、地域に応じた様々なバイオマス材料の適用を目指していきます。さらには、バイオマス炭やバイオマス燃料の焼却灰など、適用を拡大する開発も進めていきます。
◆ 使えば使うほどCO2を削減する、不動テトラ独自の「ネガティブエミッション技術」の実用化へ、開発を加速させていきます。そして、2050年のカーボンニュートラルの実現に向け、社会に貢献していきます。