2025.01.21
お知らせ

フォトグラメトリによる水中構造物点検手法を進展、汚濁水中での撮影を可能に

~UAV写真測量とのデータ結合で水中から水上までのシームレスな3次元点群モデルを作成~

 株式会社不動テトラ(奥田眞也社長)と高橋秋和建設株式会社(高橋敦社長)は、サイスガジェット株式会社(上田至高代表取締役)の協力を得て、フォトグラメトリによる水中構造物点検手法を進めています(2024年11月5日リリース)。この度、ステレオカメラで透明度約0.2mの濁水中にある取水塔(水深1.7m、塔直径3m)の写真を撮影、フォトグラメトリにより3次元点群モデルを生成し可視化することに成功しました。また、今回はUAV(Unmanned Aerial Vehicle)写真測量とのデータ統合を行い、水中から水上までシームレスな3次元点群モデルの作成を行いました。
 生成した3次元点群モデルは水中から水上まで取水塔全体を俯瞰できるとともに、その外観・質感を再現し、取水口蓋や配管とその留め具など微細な形状の把握、標尺の数字などを連続的に把握できます。
 本手法は潜水士による目視点検が困難な濁水中にある構造物の点検作業の改善と問題発見の確実性、安全性向上に大きなメリットが期待されます。また、シームレスな3次元点群モデルは水中から水上まで連続する変状や全体像の把握により維持管理の効率化が期待されます。

※1 「フォトグラメトリ」はさまざまな方向から撮影した対象物の写真データを元に、信頼性のある寸法を解析して3次元モデルを形成するもの。

■水中構造物点検手法の課題

 濁水中のインフラ点検においては濁りの影響を受けにくいマルチビームソナーなど音響を用いた計測が広く行われています。しかし、音響を用いた計測では対象物の色合いやひび割れ等、微細な形状が把握できないといった課題がありました。
 また、水中から水上にかけての連続的な点検では、水中と水上の計測方法が異なると同一の詳細度や質感で変状をシームレスに確認できないといった課題がありました。

■透明度約0.2mの濁水中においてステレオカメラの写真から3次元点群モデル生成

 今回の試行では透明度約0.2mの濁水中において、ため池に浮かべたボートよりステレオカメラを取水塔に沿って人力で上下させながら周囲を撮影した写真をもとに、フォトグラメトリの手法を用いて3次元点群モデルを生成し可視化しました。生成した3次元点群モデルは取水塔の水中部全体を俯瞰できるとともにその外観・質感を再現し、取水口蓋や配管とその留め具など微細な形状の把握、標尺の数字まで把握できます。濁水中での撮影は取水塔に近接して行ったことから、撮影枚数の増大と寸法精度に課題が残りました。今後は撮影方法の改善と寸法精度向上に取り組んでいきます。

UAVを用いた水上部写真測量との統合

 今回の試行ではUAVを用いて水上部の写真測量を行い、これから作成した3次元点群モデルとフォトグラメトリによる水中部のモデルを統合しました。この結果、水中部から水上部まで配管や標尺のメモリといった微細部分を把握できるシームレスな3次元点群モデルを作成することができました。

●高橋秋和建設株式会社の概要
会社名   高橋秋和建設株式会社
所在地   〒018-0604 秋田県由利本荘市西目町沼田字弁天前40-198
設立    1964年(昭和22年)10月28日
資本金   6,000万円
代表者   代表取締役社長 高橋 敦
事業内容  土木事業、再生可能エネルギー設備の建設および 保守・点検・管理

●サイスガジェット株式会社の概要
会社名   サイスガジェット株式会社
所在地   〒143-0016 東京都大田区大森北3-31-11
設立    2013年(平成25年)2月18日
代表者   代表取締役 上田 至高
事業内容  物理探査・海洋調査に関する機器販売、サービス

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