フォトグラメトリによる水中構造物点検手法を試行
~洋上風力発電基礎に見立てた筒型漁礁の3次元点群モデル生成に成功~
株式会社不動テトラ(奥田眞也社長)と高橋秋和建設株式会社(高橋敦社長)は、サイスガジェット株式会社(上田至高代表取締役)の協力を得て、外洋の海底に設置された筒型漁礁(設置水深15m、高さ8m、塔直径2m)を対象にフォトグラメトリ※1によって詳細な3次元点群モデル生成に成功しました。
本手法はこれまで課題のあった水中構造物の点検性能を大きく向上し、今後必要性が増すと予想される洋上風力発電設備の点検作業において安全性、精度と再現性および問題発見の確実性に大きなメリットが期待されます。
生成した3次元点群モデルは筒型漁礁全体を俯瞰できるとともに、写真から取得した外観・質感を再現し、部材の微細な形状寸法および袋詰玉石の網目まで把握できるものとなっています。
この試行により、本手法が洋上風力発電基礎の洗掘状況や電源ケーブルの確認などの点検用途に十分適用できることを確認しました。今後はデータ取得手法の改善とともに港湾施設点検への適用拡大に取り組みます。
※1 「フォトグラメトリ」はさまざまな方向から撮影した対象物の写真データを元に、信頼性のある寸法を解析して3次元モデルを形成するもの。
■水中構造物点検手法の課題
近年、建設が進む洋上風力発電の水中部点検については潜水士による目視点検が主流となっています。しかし、昨今の人手不足や安全性の向上およびコスト縮減などの観点から潜水士の目視点検に代わる点検、測量手法が求められています。現在、ROV(Remotely Operated Vehicle : 遠隔操作型無人潜水機)や水中ドローンにより撮影した写真や動画を活用することが行われていますが、この手法では対象物を俯瞰して確認することや細部構造の正確な位置および寸法を把握することが困難でした。また、マルチビーム測量などの音響を利用した測定では対象物の色合いや微細な形状が把握できないといった課題がありました。
■ROVに搭載したステレオカメラの写真から3次元点群モデル生成
今回の試行ではROVに搭載したステレオカメラにてさまざまな方向から撮影した写真をもとに、フォトグラメトリの手法を用いて筒型漁礁の詳細で精度の高い3次元点群モデルを生成しました。生成した3次元点群モデルは筒型漁礁全体を俯瞰でき、また、表面は写真から取得した外観・質感を再現し、部材の微細な形状寸法や袋詰玉石詳細部まで把握できるものとなっています。
【使用機材と海域への投入状況】
●高橋秋和建設株式会社の概要
会社名 高橋秋和建設株式会社
所在地 〒018-0604 秋田県由利本荘市西目町沼田字弁天前40-198
設立 1964年(昭和22年)10月28日
資本金 6,000万円
代表者 代表取締役社長 高橋 敦
事業内容 土木事業、再生可能エネルギー設備の建設および 保守・点検・管理
●サイスガジェット株式会社の概要
会社名 サイスガジェット株式会社
所在地 〒143-0016 東京都大田区大森北3-31-11
設立 2013年(平成25年)2月18日
代表者 代表取締役 上田 至高
事業内容 物理探査・海洋調査に関する機器販売、サービス