Project Story.03

ブロック環境事業ストーリー

津波に対する適用性。東北大震災における粘り強い構造の提案。

2011年3月11日に発生した東日本大震災は各地に甚大な被害をもたらしました。
中でも津波による被害は想定を遙かに上回るものでした。
そこで得た教訓と知見を未来に活かすために、不動テトラが取り組んでいる津波対策についてご紹介します。

津波に対して、
“粘り強い”防波堤の実現に向けて

ブロック環境事業本部 営業部 課長
柏田 雄一

津波に立ち向かう

3.11の被災を目の当たりにし、私は、“無力感”にも近い衝撃を受けました。不動テトラの消波・根固ブロックは、その名の通り波の力を消失(減衰)するもので、台風 等の風波による被害から施設や人々の生活を護っています。しかし、元々の設計思想が津波による被害を想定したものではなく、あの壊滅的な被害に対し、なす術のない状況に悔しさも感じました。
当社は、2004年インド洋大津波をきっかけに津波対策の基礎的な研究は進めていたものの、実用化を前提とした本格的な取り組みは、東日本大震災から始まったのです。
まず私たちが挑んだのは、防波堤等施設の「粘り強い化」に向け津波による被災のメカニズムを解析・検証することでした。防波堤を乗り越えた津波は、“水塊”となって港内側に激しく叩きつけるように流れ込みます。これを“越流”と呼びますが、この越流によって港内側の基礎石は飛散し、支えを失った防波堤が倒壊(被災)しやすくなります。
越流による影響の度合いや範囲は様々な条件によって変化します。それらをブロックや防波堤自体の構造設計に反映させるために、私たちは水理実験を繰り返し、その基礎的な情報を収集・解析するとともに、越流に対して基礎石が被災(洗堀)されにくいブロックを用いた効果的な構造・配置等の研究に取り組みました 。
その結果、ブロックに大きな開口部を設け、越流による揚圧力に対する効力の高い新型被覆ブロック(ベルメックス)を中心とした、津波に対する「粘り強い」防波堤設計に対する実用的な提案ができるまでの知見を得たのです。

研究と実践の一体化

こうして開発した「粘り強い化」の技術を、私たちは全国の港湾・漁港施設等に提案。これまでに全国多数の施設で採用されています。
津波による被害を完全に防ぐことはできません。しかし、施設の「粘り強い化」によって被害を最小限に留め、人々が避難する時間を確保することは可能です。これは水際の防災・減災に長年携わってきた我々の大切な使命の一つだと考えています。
不動テトラは、ブロックを開発するメーカーであると同時に、施工会社でもあります。津波対策の理論を構築し、それを実際の施工に反映させることで「粘り強い化」を実現できたのも、この両方の機能を併せ持つ当社であるからこそ可能だったと言えるでしょう。

海岸堤防の「粘り強い化」も実現

ブロック環境事業本部 技術部
萩原 照通

海岸堤防の分野においても、津波に対する「粘り強い化」を実現するブロックを開発しました。
巨大津波の越流は海岸堤防の法面と基礎を激しく洗掘し、堤防を破壊しようとします。それに備えて、隣接したブロック同士が上下方向にかみ合う新型法面被覆ブロックを開発しました。ブロックの切欠きがしっかりとかみ合うことで粘り強さを発揮し、堤防の法面を保護する仕組みとなっています。
新型ブロックにはいくつかの形状があり、現地の環境によって最適のものを、ユーザー(自治体など)のニーズに応じて提案しています。ユーザーの考えは多様ですので、それを総合研究所に的確に伝えていくことも、私たち技術部の役割です。
このように営業・技術・研究開発が一体となってユーザーのニーズにスピーディーに応えられることが、当社の大きな強みだと感じています。


総合研究所 水理研究室
三井 順

私の研究テーマは、津波に対するブロックの安定性です。2011年3月の東日本大震災により、多くの防波堤が甚大な被害を受け、防波堤の背後を津波の越流から守る必要性が浮かび上がりました。防波堤の背後の基礎部分にブロックを設置することで安定性を確保できるので、そのブロックの適正な重量を判断する基準づくりを目指して研究を進めました。400ケースを超える実験結果をもとにして、津波の予想水位を入力すると適正なブロックの重量を算出できる式を導出しました。この式は、防波堤の設計基準にも取り入れて頂いています。私は大学院の博士課程に社会人入学し、この研究を学術的観点から論文化、博士号も取得しました。2015年に国際航路協会(PIANC)の優秀論文賞を受賞したことは、大変光栄なことでした。総合技術研究所では、2014年にチャンバー式津波発生装置を導入し、多彩な津波のパターンを実験できるようになりました。このことも研究の質を高めることに役立ったといえます。津波の防波堤への影響は、まださまざまな課題が残っており、安定性に寄与する研究を続けているところです。

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