SAVEコンポーザー施工機の小型化に成功
新技術概要
当社の主力工法であり、液状化対策として信頼性の高いサンドコンパクションパイル工法「SAVEコンポーザー」の施工機の小型化に成功しました。これにより、これまで費用や重機ヤードの制約からサンドコンパクションパイル工法による液状化対策の適用が難しかった戸建て住宅等、狭隘地での市場に対し、高い環境性能と確実な品質を両立した新たな施工メニューにより、地震による液状化を防ぎ安全で安心な地盤を提供します。
SAVEコンポーザーを含む締固め工法は、セメントなどの固化材を使用する液状化対策とは異なり、以下の点で高い優位性を提供します。
- 環境負荷の低減(CO2削減への貢献): 砕石や砂といった素材を使用するため、セメント製造過程で発生するCO2をほとんど排出せず、カーボンニュートラル社会の実現に貢献します。
- 将来の資産価値保護(撤去費用の回避): 改良体は、コンクリートや鋼管杭のような埋設物と見なされません。そのため、将来的な土地利用の際は埋設物の撤去費用が発生せず、土地の資産価値を保護します。

図-1:SAVEコンポーザー(小型施工機)による試験施工の様子

図-2:(参考)サンドコンパクションパイル工法・SAVEコンポーザーの改良原理と施工イメージ
新技術の目指す市場
従来のSAVEコンポーザーは、施工重機が大きく、組立・解体に大型のラフタークレーンが必要となるため、戸建て住宅が密集する市街地や、狭隘な現場での適用が困難でした。本技術により、これまで施工が難しかった狭隘地や、重機組立ヤードが限られる現場での液状化対策に対応することが可能となります。

図-3:戸建て向け液状化対策のコストイメージ

図-4:SAVEコンポーザー(小型施工機)による住宅の 液状化対策工事イメージ
技術検証の主な結果と特徴
また、2025年9月~10月に不動テトラ総合技術研究所の多目的試験フィールドで、新たな施工設備を装備したSAVEコンポーザー(小型機)を用いた技術検証を行い、開発目標を達成したことを確認しました。
1.狭隘地での施工に対応可能
SAVEコンポーザー(小型施工機)は、0.4m3クレーン仕様のバックホウのみでの施工機の組立てが可能なことを確認しました。従来のSAVEコンポーザーと比較し、必要となる組立て解体ヤードを大幅に縮減するため狭隘地での適用が可能です。
2.新たな施工設備による施工が可能なことを確認
狭隘地での施工を想定し、近隣へのエアー流出を防ぐため、砂杭造成時に圧縮空気の使用を使用しない新たな施工設備を開発しました。本技術により、施工時の低振動・低騒音化を実現するとともに、周辺環境への影響を最小限に抑えます。
3.確実な出来形径を確保
技術検証後の杭頭確認において、改良目標となる出来形径の品質を確保していることを確認しました。本工法では、液状化対策として求められる十分な強度を地盤に付与するため、拡径による砂杭の改良径を安定して造成できることが非常に重要です。この径を確保することで、確実な地盤補強を実現します。
今後の予定
本技術は、石川県かほく市および内灘町で実施予定の液状化対策工事(地盤改良工法実証実験)への適用を予定しております。施工結果については、後日改めてご報告いたします。今後は、さらなる施工機の小型化やコスト効率の向上を目指し、開発・検討を進めてまいります。
また、当面は当社の責任施工体制のもとで品質管理を徹底しつつ、将来的には全国の小規模市場への展開を見据え、建設会社との協働体制の構築についても検討してまいります。

図-5:SAVEコンポーザーの施工機高さ比較

図-6:技術検証結果(出来形径)
